どうも、新会員の鈴木です。
 先日、学校へ向かう道の途中でセミの鳴き声が聞こえてきました。もう秋なのによく頑張っているなと思うと同時に、きっとあの声に応える相手はもういないだろうなと寂しい気持ちになったことを覚えています。
 今回紹介する辻村深月の『ぼくのメジャースプーン』は、読者をそんなセンチメンタルな気持ちにさせてくれる作品です。

あらすじ
「ぼく」の幼馴染みのふみちゃんは決して美人ではない。大してオシャレなわけでもなく、レンズの分厚い眼鏡をかけて、歯には矯正器具をつけている。でも頭が良くて、話が面白くて、みんなからは頼りにされる。「ぼく」の憧れの存在だ。
 ある日、学校で飼っていたウサギが惨殺される事件が起きた。第一発見者になってしまったふみちゃんはショックで心を閉ざし、しゃべることができなくなってしまう。「ぼく」はふみちゃんのため犯人の市川雄太に復讐することを決心する。

1.【現実との接点】
前回からの引き継ぎワードです。
 動物虐待やPTSDなど扱っている内容は暗いものがほとんどです。特に心が削られるのは、加害者側の悪意の軽さでしょうか。やった本人たちにはさして悪気があったわけではない、しかしされた側にしてみれば笑えない。ウサギを殺した市川雄太もそうですが、身近なクラスメイト達からもそんなタチの悪さが滲み出ています。現実でもままあることですがそれだけに、ふみちゃんや主人公である「ぼく」が翻弄される様子には無視できないものがあります。

2.【言葉の力】
 主人公にはある特別な力があります。作中では「条件ゲーム提示能力」と呼ばれるそれは、声をかけた相手に暗示をかけることができるというもの。使い方次第で相手を自由に操ることができ、主人公の復讐の要となるものでもあります。
 基本的には「Aをしろ、さもなければBになる」という形で相手に強制的にゲームを仕掛けます。
Aという条件を提示して、相手がそれを達成できない、又はしない場合はBという罰を与えることができます。 他にも同じ相手には一度しか使えない、物理的な妨害もある程度ならできるなどこまかい設定がいくつもあり、この能力の設定が物語の重要な仕掛けにもなっています。

3.【罰することは難しい】
 主人公は秋山先生(主人公と同じく「条件ゲーム提示能力」を使える。)と一緒に市川雄太に対してどんな復讐をするのかを考えていきます。
復讐は本当にするべきか。なんのため、誰のためにするのか。実際にあった復讐の方法や喩え話なども交えて、会話は進みます。そこからは平和的なものから血で血を洗うようなものまで、賛否両論があるだろう答えがいくつも出てきます。
 小学四年生の「ぼく」が出す答えも決して完璧なものではありませんが、それは人を思う気持ちあっての結果かもしれません。

 以上で本の紹介を終わりにさせていただきます。
 最後になりますが、ブログの更新が遅れてしまい本当にすいませんでした。次回の方にはもっと余裕を持ってバトンタッチしたかったのですが、どうにも思うようにいきませんでした。次回からはそれが出来るよう努力します。今後ともどうぞ、よろしくお願いします。