どうも。前SF研会長の黒井です。
機関誌の活動には少し関わりましたが、ブログの場で書かせていくのは一回目でございます。みなさん初めまして。
大学に入学して何回目の冬だったか、この肌寒さにも慣れてきつつあります(もう今年で最後にしたいなぁ)
FSMの活動はこの時期になると、毎年の事ですが、やたらと忙しくなってきます。
かつて幻文研の機関誌は夏コミで出展させていただいたのですが、それを近年文学フリマであったり本の杜にその機会を変えると、時期変更のシワ寄せが来るようになりました。秋から冬にかけて普段はユルいサークルの雰囲気もすこしピリピリしてるように感じます。
さて、当然リレーブログの参加も初めてなのですが、優秀な後輩たちの業績を真似しながら、それっぽくやっていこうと思います。

私が扱う作品は「ほしのこえ」
2002年に新海誠が原案、脚本、監督を務めた映像作品を、大場惑によってノベライズ展開された作品であります。
世界観は私たちが住む世界より少し未来の世界。2039年、火星を訪れた探査チームは突如飛来した生命体タルシアンにより全滅される。発達した文明の中で、タルシアンの追跡調査のために国連宇宙軍が組織される。2046年中学生のノボルとミカコは剣道部に所属する中の良いクラスメートであったが、ミカコが国連軍選抜メンバーに抜擢され二人は宇宙と地球で離ればなれになってしまう。二人の連絡手段は携帯電話のメールであったが、調査が進むにつれて次第に二人の時間にずれが生じ、メールのやりとりは困難になっていくのであった……

Ⅰ「新しい価値観」※前回からの引き継ぎキーワード
 少年と少女の恋愛について扱う作品は当然存在し、それに遠距離恋愛を混ぜたとしてもまだ多い。しかし、この作品では選抜メンバーに抜擢されたミカコが搭乗型ロボットに乗り、タルシアンと戦闘を繰り広げるなど、このようにミックスしたジャンルはあまり存在しない。私が初めてこの作品に出会ったとき、この目新しさに驚嘆したものだった。設定にしても、SF作品並の細かな設定を扱っており、SF読みの方が読んだとしても納得頂けると思う。この手の作品を読まない人にとっては間違いなく新しい価値観が芽生える作品である。

Ⅱ「距離」
 宇宙と地球の距離を測る単位として、光年という言葉は世間的にも浸透している。ほしのこえでは、その尺度をメールのやり取りができる距離としており、その感覚はなかなか趣がある。作品の中に限らず、誰もが一般生活でその尺度を自分なりに変換していることが無意識にあると思う。ちなみに私は徒歩10分という単位を「自宅から最寄り駅まで」、360分を「講義を休める時間の限界」という認識をしている。この作品については離れていく距離感、そして嘆く二人の心情に注目して読んでもらいたい。

Ⅲ「思春期」
 少年少女時代は誰もが歩む通過儀礼であるが、当然恋愛について行動を起こさないまでも意識した人は多いはずだ。大人になるにつれて、皆が感情について簡潔に処理するようになり、自分がかつて悩んでいたことさえ忘れる。価値観の基盤を作りあげる思春期ならではの処理しきれない感情を、ノボルとミカコから知ることができる。私がこの作品に出会ったのは中学二年のころ、奇しくもノボルとミカコと年代の近いときであった。当時は共感したということこそなかったが、いま改めてこの作品を読み直すと、自分が思春期の頃のやきもきした感情を思い出す。それがどんなに黒歴史であったとしても……
 この作品とは関係ないが、原作の新海誠作品の多くはこの思春期特有の感情が多く扱われる。自分の思春期の悩みを彼の作品から思い出すことが出来るのだ。

もしまだこの作品に出会ってない方は先に映像作品から見ることをお勧めします。ノベライズは映像作品では扱われなかった設定やアフターストーリーが詰め込まれており、いうなれば映像では語られなかった部分の補填に近い。
当然ノベライズ版から読めば全貌もわかるが、後に映像作品を見ると特に目新しさもないため30分程度の映像作品から入ることが望ましい……はず。
次はおそらくFSMのレジェンド鹿野氏の投稿。私の失態を、彼なら見事に拭ってくれると信じて……それでは失礼いたします。