はじめまして。めでたく新入生になり、なぜアルバイトをし始めたのか自問自答中の上田です。この新天地での4年間が自分をどう育てるのか不安でありつつ、楽しみでもあります。ちなみに現在は「そうだ、富士の樹海に行こう(白目)」ぐらいには大学生生活を楽しんでいます!1年トップバッターの責に背骨が粉砕骨折する気持ちで手に脂汗を握りながら書かせていただきます。多少の「何言ってんだお前」感はトイレにでも流してください。
 このブログの説明は前回に先輩にやっていただいているので、さっそく作品紹介に移らせてもらいたいと思います。今回紹介させてもらうのは安部公房の「箱男」です。この作品は昭和48年3月に新潮社より刊行されました。内容を完全に理解しているとは言い難く、その方面の研究者の方からは「青二才が吹いてんじゃねえよ(笑)」みたいなお叱りが飛んで来そうな気がしますが、そこは笑って流して下さい。この箱男という者の存在は、僕らの内に存在する欲求である、謂わば「監視欲」というものを実にわかりやすく表現していると思います。箱という他とは隔離され、安全が保障された空間において誰かの、もしくは何かの個別的情報を一方的に監視する、もとい覗く。これを単なる情欲、又は好奇心の発露と結論付けるのは早計であるように思います。出発点はそうであれ、決して終着点もそうであるとは言い切れないからです。これは本当にざっくりですが、物語の上では欠かせない事柄です。
 
あらすじ
 段ボール箱を頭から被り、帰属を捨てた放浪者がその箱に開けた窓から見た風景とは、そしてその行き着く先とはーーー

[1]風変わりな設定 ※引継ぎワード
 安部公房氏の特徴と言っていいほどの独特な世界観から生まれた設定。複雑というより「闇」です。箱という物から外界とは隔離された「メビウスの輪」という発想とその設定、箱男という者の存在の源、現実を舞台にしているのにフワフワする浮遊感、複雑な感情模様。これを全て理解するのは至難の業だと思います。言い方は悪いですが、もはや「変態的」といっても過言ではありません。脳みそをグチャグチャにミキシングしたいという方にはおススメです(しかし同氏の著作では『屋上から落ちたら棒になってた』や『精子いじって時間を巻き戻す』があるため、抵抗がつくとそうでもなくなる)。

[2]不在 
 箱男は帰属する場を捨てた者たちで、いわば「いない」者たちです。作中では存在証明ならぬ「不在証明」だとか。「ないもの」は都会に住む者たちには認識されない。思考に入り込むことすらないないのです。しかし一度箱男への羨望に憑りつかれ、「他ではなく、自分への帰属」を見出したならばそのものは存在を捨て、不在となる。また安部公房氏は『デモクラシーをとことん突き詰めれば皆箱男となる。』と言います。国家というものに帰属しつつも、最終的には自分にしか帰属する場はないということに気づけば人間は他の帰属場所を捨てるということでしょうか。

[3]読者を翻弄するトリック 
 正直に言うと自分は3分の1も理解していません。ウィキペディアを片手に読み進めたため、この考察も少なからずその影響を受けています。ですが、それを抜きにしても次々と襲ってくる時系列の荒波、場面転換、人物転換、そしてそこから生まれるトリックは読者をこれでもかと揺さぶってきます。恐らくほとんどの人が「ははーん?こいつ理解させる気ねえな?」と思ってしまうかもしれません。そこが難所でもあり、味でもあります。一回ハマるとクセになるでしょう。

 以上で終わりとなります。間違いなく紹介しきれておらず、魅力も伝わってないのは察しており、また全くの見当違いの意見もあることは了解してはおります。ですが、この作者なら仕方ないよね、の様な感じで流していただけると幸いです。さらに公房チックな世界が欲しいというガンギマr…コアな方には「R62号の発明・鉛の卵」をおススメします。是非どうぞ。