こんにちは、鹿野です。
梅雨と真夏が行ってやってきたような天気が続いていますが、皆さん体調大丈夫でしょうか?
実は本サークルでは、プチ風邪流行が起きてまして、なぜか上級生ばかりが体調を崩していく事態が起きております。
かく言う私もどうやら腹を壊したようで。結構辛いもんです。

さて。先日こちらで告知しました「全員参加リレー執筆企画」。

始動いたします。今日、この記事から。

テーマはなんと「オールフリー」 完全に自由です。

昨年度は「本」をテーマに書いてみようと全員にやったわけですが、
今回はまぁもっと自由にやってみようと相談の結果なりまして。

「何を書けば、ここを見てくれる人に最後まで読んでもらえるか?」
ということを第一に考えて、尚且つ自分で書いてて楽しいようなテーマで書いてみる。

そういったことをこれから書くであろう会員には伝えてあります。

このリレー記事「読むを書く」(思い付きですのでこのタイトルは変わるかも)は週に一度、毎回執筆者交代で書かれます。
何曜日に書かれるか、ということはまぁお楽しみに。

また、当初この企画スタートの穴埋めに考えておりました「ミステリ講座番外編」も
まだ全然書いておりませんし、並行して続けていきます。
こちらに関しては、私が基本的に執筆いたします。

てなわけで、このまま第一回の私へと。

タイトルは「夜歩く」
推理小説家ジョン・ディクスン・カーのデビュー作です。
トリックが複雑過ぎたせいで、いくつもの出版社に断られたという逸話のあるこの作品。
どんでん返しトリックと怪奇趣味というポーの流れを受け継いだカーの真骨頂を見ることが出来る良作です。

さて、普段我々が読んでいる小説なるもの。限りなく新鮮な「現実」というものが目の前にあるのに
我々はなぜか、この奇妙な存在を愛しています。
「現実」を「昼」とすれば「小説」とは「夜」のようなものではないでしょうか。

そして、それを読む我々はすなわち「夜歩く」人ではないかなと、まま少々無理やりですが、思うのです。

しかし、だからといって現実を完全に無視するなんてわけにはいきません。
「夜」における「昼」のように、決して見失うことが出来ない存在として「現実」はそこにあるのです。

ということで今回は、このサークルで扱っているジャンルの一つ、ミステリの「現実」への向き合い方について、
のんびりと書いてみようと思います。

近年発展してきた「社会派」や「ハードボイルド」は在り方は違えど、現実を強く意識したジャンルと言えるでしょう。
そして、そんなジャンルが生まれてきたのは「本格」へのアンチテーゼでした。
社会派の第一人者として知られる松本清張の言葉にこういったものがあります。

「推理小説をお化け屋敷から連れ出す」

江戸川乱歩、横溝正史など当時の代表的作家は作品におどろおどろしい空気を付帯させることが少なくありませんでした。
乱歩は始祖ポーの怪奇的雰囲気に惚れていましたし、横溝もまたカーの怪奇趣味に大きな影響を受けていましたから
これも当然といえば当然のこと。
「本格」はそういったところ「現実」の中ではなくあくまでフィクションの世界から生まれたものなのです。

では本格は現実から完全に目を背けているのか?
そういったわけではありません。
そもそも、現実に生きている人間が書いたものである限り、そこから逃れることは難しいわけで。

本格において「現実」とは目を背けるからこそ、意識されるものだと私は思っています。

例えば今この時代に、孤島という孤立空間があり得るでしょうか。
携帯やらなんやら、クリスティの時代から多くのものが変わりました。

いくら現実離れした本格推理であっても現実でのルール、常識を「読者に見える形で」破るわけにはいかない。

本格においては読者の前に現実を提示すること。例えそれが信じがたい事件であっても最終的には
現実味のある推理をすることが重要なポイントです。

全体的に、形としてはかなり非現実であったとしても少なくとも読者であるうちは「現実」を
作品に見ることが出来るということ。それが「本格」の現実との向き合い方ではないかと私は思うのです。

ハワード・ヘイクラフトというミステリ研究家は「民主主義の発展がミステリを生み出した」と
名著「娯楽としての殺人」で書きました。その言葉を完全に肯定することは出来ませんが、
ミステリという娯楽小説の華が常に読者の側にあった。読者という「現実」の中で受け入れられてきた。
そういったことは確かではないでしょうか。

さて現在。新本格の波が遠く過ぎ去った今、ミステリはどこへ行くのでしょうか。
それを知っているのは多分「現実」という、ミステリと決して相容れずしかし切り離せないものだけでしょう。

ということで、まぁ、大して意味のない文章をつらつらと書いてきてまいりました。
人に「読んで面白いものを書け」と言った割りに、あんまり面白くないものとなりましたが。
まぁ、これから書く人は反面教師にしていただければ。

とりあえず今回はこの程度で終わり。
次回は現二年生の一人が書きます。お楽しみに。鹿野でした。