お久しぶりです。2014年度ブログ担当の鹿野です。
サークルHPの不具合により、長い間更新することが出来ず、というか見ることさえ出来ない状況になってしまい、
大変申し訳ありませんでした。
特に新入生の方につきましては、色々と見ることができずご迷惑おかけいたしました。
さて。かなり、かなり遅くなってしまいましたが、今回は2014年度ずっと続けて、各会員の心の本を紹介してきたリレーブログの終わりということで。最初はまとめ的なのを書こうかとも思ったんですが、私が皆の大切な本紹介にウダウダ言うのも変な感じがして、ただ普段通りのリレーはつまらないと思い、ちょっと変わった感じにします。

これまでは一冊の本を三つのキーワードで紹介してきましたが、最後の今回は三つのキーワードにそれぞれ一冊ずつ本の紹介を。
加えて、ちょうど今日は新年度最初の日ですし、新入生に向けて「SF」「ミステリ」「幻想文学」から一冊ずつの紹介をします。
作品の紹介は勿論、各ジャンルの話もちょっとしたいのです。

キーワードは、前回から引き継いだ「信じるもの」(SF)に加えて「影が動く」(ミステリ)「不思議なはなし」(幻想文学)で。
それでは、紹介を。

1.信じるもの……「土星マンション」(著:岩岡ヒサエ)
最近色々とマンガを読んでいるんですが、その中で最も興味をもった作品です。
地球が住めなくなり、人類が地球から遥か高いところにあるリング上のマンション型コロニーに住んでいる世界。
主人公はその中で下層、一番貧しい人々が住んでいるところで生まれ育ち、亡くなった父がやっていた「コロニー窓ふき」の
仕事をやることになります。
コロニーを外側、つまり宇宙空間の側から拭く窓ふきの仕事は非常に危険で、主人公の父も仕事中に地球へと落下してしまいました。主人公はそんな仕事の中で、マンションに住む人々や同じ窓ふきの面々と心を通わせていきます。

作品内で主人公は沢山の人と出会います。その中には攻撃的な方もいたりして、主人公は押されたりするのですが、
彼はそんな時自身の核、誇りである「窓ふき」という仕事を力にして、そんな相手の心さえも動かしていきます。

私にとってSFは、そんな感じ。
SFは基本的に未来世界を描いたり、宇宙的なものを描いたりするのですが、そこでも登場人物は自分の「信じるもの」、例えば
自分が作ってきた物、自分の誇り、そんなものを胸に生きています。
SFは一般的に難しいイメージがあるんですが、実際はそういったものでないものも多く、
結局のところは単なる人間の物語。私達の知らない世界において、私達がよく知る人間という存在が奮闘している。
それを見ることがSFの楽しみの一つなんじゃないのか、と私は思っています。

●さて、もしこれからSFを読まれる場合は、国内ならとりあえず小川一水をお薦めします。彼の短篇は暖かいSF、現代的なキャラクターがSF世界の中で生き生きと動いています。
ハズレは殆どありませんが、私のお気に入りは「妙なる技の乙女たち」(早川書房)
宇宙エレベーターがある世界で懸命に働く、様々な女性(乙女)たちの姿を描いた短篇集です。

また、海外ならばクラーク、アシモフ、そしてブラッドベリを読んでおけばハズレなし。
各作家の特徴を簡単にいいますと、

クラークは「王道SF」
長編はSF慣れてない人には厳しいかもしれませんが、短篇集は読みやすくSFの面白さを実感出来るでしょう。
アシモフは……すいません、私はミステリのアシモフが好きで、SFアシモフを読むことで、なにかイメージが変わってしまう気がしてしまい殆ど読んでいないのです。
ただ、アシモフのSF小話系の本は親しみやすく、とても面白いもんですよ。

そして、ブラッドベリは「幻想SF」
他のSF作家とは全く香りが違います。
SFというよりむしろ、幻想文学。
フワッとした、不思議な空気を持つSFです。
一般的なSFは苦手だけど、ブラッドベリは好き!という人も多くいるとかいないとか。

そんな感じです。個人的趣味でいえば、例えばユーモアSFの大家フレドリック・ブラウンなども面白いんじゃないかと思います。

2.「影が動く」……「火刑法廷」(著:ジョン・ディクスン・カー)
恐るべき作品です。作者のカーはドイルの伝記を作ったり小説内で「密室講義」なんていう密室ミステリトークを繰り広げたり
するなどがっつりミステリ好きとして知られているのですが、本作はそんな彼による、ミステリの世界に二つとない
唯一無二の傑作です。
しかし、あらすじをあまり語ることが出来ないのです。少しでも話してしまうとこのミステリが壊れてしまう、そこまでの濃さ。
ミステリとは即ち「謎を解く」物語ですが、ミステリの父エドガー・アラン・ポーはそこだけに留まりませんでした。
解かれる謎は「怪奇」であるということ。不可思議な「怪奇」を理知でもって「解決」する、そこに強い感動が生まれるのです。

そして、カーはそれを更に進めた「怪奇」と「解決」の関係性をこの小説で生み出しています。
世界一のミステリオタクが生み出した、ミステリギリギリの傑作。ぜひ読んでみてください。

●さて、ミステリというのは私にとって、あまりに重すぎて一言でまとめることが難しいのですが、
やはり「最後のカタルシス」というところにあるのではないかと思います。
謎が最後、解けるということ。その心地よさにこそミステリの全てがあります。

ミステリ初心者はとりあえずクリスティ、クイーンなど著名なところを攻めましょう。
国内は独特な発展を遂げているので、国内中心にいくならばまた難しくなってきます。
なので、とりあえず海外でミステリの素養をつけていきたいところ。
個人的にはやはりクイーン。小説、評論、アンソロジー。
全て読む価値がありますし、そこから広がる世界はまさにミステリ黄金時代の全て。
ぜひぜひ。

3.「不思議なはなし」……「郵便局と蛇 A.E.コッハード短篇集」(著:A.E.コッハード)
A.E.コッハードという作家の不思議な話の短篇集。
10ページ程度というシンプルな表題作からちょっと長いものまで10本、皆いい感じな話ばかりです。
特に表題作、郵便局と蛇は際立っており、最後に出てくる「蛇」の姿は必見物。
気持ちのいい温度、空気なんですよね。

幻想文学というのは色々考え方があるのですが、私はとりあえず「不思議な話」ということで考えています。
理想は、どこかのお店で年食ったオヤジが適当に話す法螺話。大体現実で、ちょっと幻想。
現実から半歩ほど足がはみ出たものが面白いです。

●さて。幻想文学は難しくて、出会おうとしなければ殆ど出会わないものです。
また、色が強いものが多いため幻想文学の中でも好き嫌いは多く出てくるでしょう。
しかし、幻想文学で好きな小説に出会えれば、それは何よりの心地よさ。
幻想文学は、即ち空気。いい空気を探しましょう。

個人的に大好きな作家はロード・ダンセイニとイタロ・カルヴィーノなのですが、
まぁ兎にも角にもちくま、河出などを図書館でじっくりと見てみると
ピン!とくるものが見つかるかと思います。
とりあえず「幻想文学って何?」という方は
筑摩書房の「幻想文学入門―世界幻想文学大全」(東雅夫)
を手にとって見るといいかと思います。

ちょこちょこと書いてきました。もしよろしければ参考にしてください。

さて、遂に2014年度リレーブログは今回で終了。
これまで沢山の本を紹介してきました。
新しい本を探す道標にすると共に、東洋大の方は私達のサークルを知る一助にしていただければ幸いです。
私達は読書系サークル、ならばそれを知るには好きな本の話を見ることが一番ですから。

後、4月は新歓期間。新入生は勿論、二年生以上の方もぜひ4号館(生協があるとこ)五階、4551までいらしてください。
誰でも大歓迎です。

それでは、今までお世話になりました。鹿野でした。