2017年度第三回リレーブログ 「カエルの楽園」百田尚樹 著 担当:トミタ

こんにちは、今回リレーブログを書かせていただくfsm2年目の富田です。もう春だと思っていたらあっという間に初夏。暑いですね!先日、家に黒いアイツが出現しました。新聞紙で叩こうとしましたが、部屋の隅に逃げられてどっかいっちゃいました。最近はほぼ毎日半袖です。でももうすぐ梅雨なので、少しは涼しくなるかもしれません。最近は大学になれてしまったせいか、時間の流れが早いです。「あれ、この授業を受けると言うことはもう一週間経ったのか!「あれ?この月9ドラマ昨日もやってなかったっけ?」といった具合です。皆さん、「時は金なり」この言葉を大事にしましょう。時間はお金じゃ買えません。戻りもしません、つまり僕の考えではお金よりも価値のあるものだと思います。どうでもいい話はこれくらいにしてそろそろ本の紹介に行きましょう。

今回紹介するのは、百田尚樹さんの「カエルの楽園」です。カエルが挿し絵などに大量に出てくるのでカエルがどうしても苦手な方は遠慮したほうがいいかもしれません。
〈あらすじ〉Amazonより引用
最大の悲劇は良心的な愚かさによってもたらされる

祖国を天敵のウシガエルによって追いやられ、安住の地を求めて旅に出たソクラテスとロベルトは豊かな国ナパージュにたどり着く。そこは心優しいカエルたちが暮らす゛平和な゛国だった。しかし、そこには隠された秘密があった…

〈人間以外が主人公〉
この本は最初から最後までずっとカエルが主人公でカエル目線で話が進んでいきます。なので、カエルの生活が人間なんかよりいかに大変かが分かります。

〈幻想〉*前回からの引き継ぎワード
この話に出てくるナパージュは[三戒]という決まりがあります。それがどういう内容かを言ってしまうとネタバレになりかねないのでご了承下さい。ナパージュのカエルたちはこの三戒があれば、ずっと平和なんだ、と信じていました。ところが、ある日この国にもウシガエルたちが攻めてきます。カエルたちは三戒を信じているので大丈夫だろうと胸を張っていましたがウシガエルたちにどんどん食べられてしまいます。なぜそうなってしまったか、それはこの本を読んで三戒がどんなものであるかが判れば解けます。結局、平和というのは、彼らの幻想に過ぎなかったのです。

〈強いメッセージ性〉
この小説は推理小説でも冒険小説でもありません。最近、芥川賞を受賞した村田沙也加さんのコンビニ人間のように強いメッセージ性を感じることが出来ます。この小説の結末は衝撃的です。ネットでは賛否両論ですが、私はありだと思います。
なお、この小説は途中で残酷なシーンが多めなので、対象年齢は15歳以上対象といった感じです。

最後に…
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
もうすぐ梅雨ということで、このカエルたちのお話にしました。今後は気温の変化が激しくなるそうです。皆さま、体調管理に気をつけてお過ごしください。

2017年度第二回リレーブログ『星降り山荘の殺人』倉知淳 著 担当:鱸

春は終わりを迎えつつあり、これから梅雨に入ると思うと気が重くなる、そんな今日この頃です。会員の皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
今年度からミス研の会長になりました、鈴木こと、鱸です。今年度2回目のリレーブログを書かせていただきます。よろしくお願いします。
さて先月行った読書会では、課題本の1つとして、有栖川有栖の『スイス時計の謎』を出させていただきました。こちらの表題作は、犯人当ての推理小説として非常に完成度の高い作品でしたが、今回紹介する倉知淳の『星降り山荘の殺人』も、緻密なロジックが売りの犯人当て推理小説です。

あらすじ
突発的な天候不良により、下界から隔離された山荘で殺人事件が発生した。殺害されたのは山荘の持ち主。容疑者は山荘に集められた男女8人。売れっ子女流作家にUFO研究家、果てはスターウォッチャーといずれも癖のある人物ばかり。いったいこの中の誰が犯人なのか。読者に対して、あくまでもフェアに勝負を挑んだ長編推理作品。

1、閉鎖
あらすじでも書いた通り、本作の舞台は閉ざされた雪の山荘、いわゆるクローズドサークルだ。クローズドサークルとは、何らかの事情で外界との往来が断たれた状況、あるいはそうした状況下でおこる事件の事(Wikipedia参照)。推理小説ではおなじみの舞台設定だ。その理由は、容疑者の限定や警察、科学捜査の非介入など、物語を推理小説として成立させるための条件が同時に達成できるためである。
種類としては、今回のような雪の山荘や絶海の孤島などが有名で、核シェルター内に閉じ込められる、なんてものもある。日常から隔離されたこの状況は、それだけでミステリーファンの心を躍らせるものがある。

2、論理

犯人当ての面白さといえば、緻密なロジックの積み重ねにある。探偵役は現場の状況、凶器、アリバイなどの条件をもとに、容疑者から犯人を絞り込んでいく。それら1つ1つが、どれほど論理的であるかどうかが、推理小説として面白くなるかどうかの重要な要素だと言える。
本作には、そんな緻密なロジックがいくつもある。なぜ犯人はこの凶器を選んだのか。なぜ警報装置をセットし直したのか。雪上に残された円の意味とはなにか。一見すると犯人には結びつかないような謎まである。しかし、これら全てに、誰しもが納得するような合理的な理由があるのだ。そして、それをもとに犯人の限定がなされていく。可能性が1つ1つ消えていき徐々に犯人へと近づいていく、そんな理詰めの美しさが際立っている。

3、幻想(前回からの引き継ぎワード)

※以下、場合によってはネタバレの恐れがあるのでご注意下さい。

事件が起きると、探偵役が推理し、犯人を当てる、またはトリックなどの謎を解く。これは推理小説定番のストーリーである。いつだって探偵役が謎を解き明かし、物語の結末を迎える。これには無敵の名探偵の様な幻想的な面もあるのだが、その一方、物語として面白みに欠ける部分もある。もちろん、そういった推理小説の面白さは、謎やトリックといった別のところにあるだろう。ただ、ストーリー展開という面だけで考えると、どうしてもワンパターンになってしまうのだ。
この予定調和を崩す様な作品も推理小説の中に存在する。本作もそのうちの1つだ。だが、本作が他よりもさらに上手いところは、予定調和を崩しつつも、王道のラインからはそれていないことだ。仕掛けがわかってから読者は初めて、”あくまでフェアに勝負を挑む”ことの意味を理解し、感嘆することになるだろう。