2018年度第四回7-9月リレーブログ『体育館の殺人』青崎有吾 担当:清水

大変ご無沙汰しております。2年前にリレーブログを一度書いたっきり暫らく休部させていただいていた清水と申します。

まずは謝罪から始めねばなりません。前回の第三回を書いた鈴木先輩から次回のリレーブログ執筆の指名を頂いたのが7月の半ばころ。夏休みを挟んでこの記事の公開は9月も終わりの頃になってしまいました。今回のリレーブログが夏号、あるいは夏休み号となってしまったのは一重に私の不徳の致すところでございます。大変申し訳ございませんでした。何をしていたかというと、大学の試験や税理士試験等の各種資格試験、3年生ということでインターンシップへの参加など、盛りだくさんでした。え?言い訳は要らない?では本題に入らさせていただきます。

さて、前回からの引き継ぎワードは【読者への挑戦状】です。まぁ【密室】も出てくるんですが。お恥ずかしながら、【読者への挑戦状】というものを私はあまり見たことがなかった、ということもあり、前者を選択しましたので、今年度中はもう【読者への挑戦状】は使えませんからね。このワードを見て、「ミステリ以外の選択肢、ないじゃん!」と思わず叫んでしまいました。ミステリは老後の楽しみにしようと思っているため、あまり読んだことがないのですが……それでも今回は頑張ってみました。前回の鈴木先輩がエラリー・クイーン推しのようでしたので、じゃあ、ということで「平成のエラリー・クイーン」とも評されている青崎有吾氏のデビュー作であり、第22回鮎川哲也賞受賞作品でもある本作品を取り上げることにいたしました。

〈あらすじ〉文庫版背表紙より引用

風ヶ丘高校の旧体育館で、放課後、放送部の少年が刺殺された。密室状態の体育館にいた唯一の人物、女子卓球部の部長の犯行だと、警察は決めてかかる。卓球部員・柚乃は、部長を救うために、学内随一の天才と呼ばれている裏染天馬に真相の解明を頼んだ。アニメオタクの駄目人間に――。

ネタバレには配慮しています↓

【読者への挑戦状】前回からの引き継ぎワード

作者が平成のエラリー・クイーンと呼ばれているだけあって、幕間として読者への挑戦ページが設けられています。ただ、前回の先輩のように「もう一度最初から読み直」すことは(個人的に)おすすめいたしません。文中で作者の考えとして、現代の読者は読み返して犯人やトリックを当てようとすることはしないだろう、と書かれているためです。ただそう言いながらもしっかり、この読者への挑戦という発明に対し敬意を払い、しっかり挑戦に関する武運は祈られてしまうため、「圧倒的物好きもしくは暇人」の方は挑んでみてもいいのではないでしょうか。私は続きが気になってすぐ次のページにに行ってしまいましたが。

【学校】

あらすじにあるように、舞台は高校です。体育館の形や授業時間など、細かい差異はあるでしょうが、高校を出身したて(?)の私には情景が目に浮かぶようで……感情移入といいますか、とにかく読みやすかったです。ああ鍵を借りるのには職員室に行かなくちゃな、とか、トイレはきれいな方に行きたいよな、とか。これを読むのを老後に回さなくって正解でした。ネタバレOFFだとこれは書きにくいですね……。

【変人】

本作の探偵役である裏染天馬。彼は校内の百人一首同好会の部室に棲み着いているのです。更にアニメオタクというところも変人度に磨きをかける。作中には『生徒会役員共』や『とらドラ』、『装甲騎兵ボトムズ』のネタまで散りばめられています。大抵は彼の独り言なので、知らなくっても(小ネタの数もそこまで多くないこともあって)何ら問題なく読み進めることもできますが……知っていればニヤリとできるでしょう。積極的に謎解きをしない、所謂やれやれ系の人間である彼の推理の原動力は金。さらに使い途はFateのブルーレイ等というのだから変人ですよね。先輩が死んでいいるんやぞ。

さて、以上で本作の魅力をお伝えすることは……できていないと思いますが、面白かったのでぜひ読んでください。ミステリ、特に本格派はちょっと……というような方も、舞台が身近なこともあり、読みやすいと思いますよ。私もそうですし。入門としてオススメです。もちろんミステリ玄人の方もぜひ。ロジックの連鎖の様は痛快です。それでは、また。

このワードなら次回はミステリ以外の作品に繋がるかな……

2018年度第三回6月リレーブログ『雪密室』法月綸太郎 担当:鈴木佑佳

こんばんわ。タイトルには六月と書いてありますが、暑さが厳しい7月になってしまいました。遅れてすみません。このサークルには二年生から入りましたがとても居心地よく過ごしています。部室ではコバエが問題になっているようで、暑さはやっぱりいいものじゃないなあと思います。さて、では引継ぎワードを紹介します。【クローズド・サークル】です。ミステリといえば王道の言葉ですね。多くの有名なミステリの中でこの言葉は出てくると思いますが、わたしが選んだのは法月綸太郎さんの『雪密室』です。名は体を表すといいますが、このタイトルがそのままこの小説の内容をあらわしていると思います。この作品はクイーンばりに読者への挑戦を作品内で読者にたたきつけています。私自身、エラリー・クイーンが好きなので、この法月さんの演出がとても気に入り、この作家さんが大好きになりました。

<あらすじ>

山荘に集められたなにやらわけがありそうな招待客たち。雪が降り、山荘に閉じ込められた日の翌日、招待客の一人の美女が殺されていた。雪が降り積もった殺人現場の周りには足跡一つ見つからない密室状態。その中の一人法月警視は息子の綸太郎とともにこの密室の謎に挑んでいく。名探偵綸太郎の初舞台。

少し、ネタバレがあります。

【密室】

殺害現場である離れのまわりには雪が降りつもっていた。しかし、離れの周りには犯人らしき足跡がないという雪によっての密室状態。そして、離れには鍵がかかっていた。その鍵は世界に二個しかないという特殊な鍵で一個は被害者が持っていて、もう一個は使用できない状況にあった。という二重の密室状態で被害者の美女は死んでいた。もう密室という言葉を聞くだけでワクワクしてしまいます。

【読者への挑戦状】

この言葉を見るとやはりエラリー・クイーンが思い浮かびます。親が警視で息子の名前は作家と同名同姓という本作の設定もクイーン好きにはたまらないと思います。ぜひ、エラリー・クイーンが好きな人も読んだことがない人も、この『雪密室』を読んでみてください。そして、読者への挑戦状が来た場合は、もう一度最初から読み直し、名探偵になった気分で謎を解いてみて下さい。

【クローズド・サークル】前回からの引継ぎワード

言葉の意味は前回のリレーブログで紹介されていたと思うのでそちらを見てください。招待客は山荘に集められ、雪で帰れなくなり晩餐では不穏な空気が流れ殺人が起きやすい状況にいつのまにかなっていく。ミステリ好きなら一度は、ああ、クローズド・サークルを体験してみたい、そんな状況に陥ってみたいと思ったことがあるという人がいると思います。私もそうです。ただ、この作品の場合警察は来ます。なので、ずっと名探偵が出張っているわけではなく警察の見解やほかにもさまざまな意見が出たうえで警視の息子綸太郎が謎を解き明かします。

なんだか最近ミステリ読んでないなって人はぜひ読んでみてください。

2018年度第二回5月リレーブログ『十角館の殺人』綾辻行人 担当:近藤勇大

どうも初めまして、こんにちわ、ミステリ研究会の近藤勇大です。5月も中頃、梅雨の走りとでもいうかのように最近は雨の日が続き、私はとても陰鬱な気分です。ゴールデンウィークも明け、五月病真っ盛りのこの時期に続く雨、最悪のコンボですね。そんな中書くんです、多少の駄文は許してくださいね。それと私、今年度からミス研会長という大役を拝命いたしました。(Q.会長ってなにやるの?私気になります!)前会長の強い強い推薦により、ミス研会長に相成ったわけですが、これがまた非常〜に面倒臭い役職でして、肩書きに飛びついた2月の自分を呪いたい…。A.いろいろな書類を書いたり、学生部に申請したり、これ給料発生しないんですか?ねえ会計のS田くん、これ見てたら検討してくださいよ。本当に。

さて、リレーブログでしたね。・・・去年は本当にすいませんでした!前回のうどんの粉さんも触れていますが、去年のリレーブログは9月でバトンが落とされました。何を隠そう、バトンから手を離してしまったのはこの私なのです。ここで懺悔と言い訳をさせてください。なんもかんも引き継ぎワードが悪い!これのせいで私は書こうと思ってた本が書けなくて、結局書かなかったのだー!本当すいませんでした。今年は書きます。書きますとも。こじ付けてでも引き継ぎワードを克服してみせる!ということで私が今回紹介するのは、綾辻行人さんのデビュー作『十角館の殺人』。引き継ぎワードは【やさしさ】からいただきます。おっと、今『十角館の殺人』でやさしさ?と怪訝に思われた既読の方々。まあまあ、私のこじ付けをどうかご覧あれ。

〈あらすじ〉

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の七人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける。

*かなりネタバレします。推理小説だけに、一応警告を。

 

【クローズド・サークル】

クローズド・サークルとは、吹雪の山荘や嵐の孤島といったように、何らかの事情で外界との往来が途絶えた場所での事件のことを言い、大学ミステリ研の七人が巻き込まれる連続殺人事件の舞台・角島は、まさに嵐の孤島だと言えるでしょう。クローズド・サークルの大きな特徴は、登場人物を限定することで、ある程度犯人が特定できるという点と、科学的調査が介入しないことで、論理的なトリックの看破が楽しめるという点です。次々と起こる連続殺人に疑心暗鬼となる登場人物たち。彼らの心理描写がまた格段とこの物語に味を出すのです。ただこの作品では次にあげる「叙述トリック」によって、クローズド・サークルの裏をかいた犯行が行われます。

*もう一度警告を、次読んだらもう楽しめない可能性高いです。

 

【叙述トリック】

叙述トリックはミステリ作品においてしばしば見られる技法です。文章の書き方によって、視点となっている登場人物の思考の一部や、ある情報を意図的に伏せることで、読者にミスリードを仕掛けるというテクニックであり、読者は物語終盤にどんでん返しをくらうというのが醍醐味になります。この作品では登場人物たちに特徴的なニックネームが与えられており、このニックネームが叙述トリックを大いに手助けをしているのです。叙述トリックが破られるあの一行に多くのミステリファンが感嘆したことでしょう。

【やさしさ】前回からの引き継ぎワード

さあ、こじつけパートがやってまいりました!これまではミステリらしくトリックに関係することを書いてきましたが、ここでは犯人にフォーカスを当てて、狂気の連続殺人の中に見えるやさしさについて書こうと思います。(もうネタバレとか気にしない)この事件の犯人(H)は、物語のいたるところで、やさしさや、良心を描写されています。殺人と関係のないところでは、他人のプライバシーを気遣ったり、殺人の動機にしても、(H)のやさしさからの行動でしょう。もちろん、人を殺しているわけですから、憎しみの感情も多分にあったことでしょう。しかし全ては(H)のやさしい性格が故に起きてしまった悲しい事件なのです。まあこの(H)のやさしさも叙述トリックの一貫と考えることもできますが。

 

こんな感じで終わります。書いてみて思ったこと。ミステリの紹介って難しい!今回はバリバリネタバレしてしまいましたが、本当に読んで欲しかったら、ネタバレを伏せて魅力を伝えないといけないなんて!引き継ぎワード的に次もミス研会員に担当して欲しいですね。

 

2018年度第一回4月リレーブログ『娼年』石田衣良 著 担当:うどんの粉

こんにちは(編集時午前2時)、幻想文学研究会のうどんの粉です。四月は中ごろ、桜の木も緑の衣に身を包み、始まりの季節から段々と順応の季節になり始めている頃だと思う。そんなことを思う僕も、もう3年生。働きたくねぇわ、ホント。それはさておき、現会員も含めてリレーブログなるモノをご存知だろうか。1か月に2回ほどのペースであるにもかかわらず、何と去年は9月で更新をストップさせるという暴挙にでて、そのまま今の今まで放置されてきたのである。それを先日SF研会長から指摘されたときには流石に寒気が走ったね。マジで。

さて、では忘れている現会員もいるかもしれないので今年度、いや今年最初である今回はリレーブログの簡単なルール説明もかねて進めていきたいと思う。といっても難しいモノではない。リレーブログは会員がオススメの本を3つのキーワードを使って紹介していくというもの。その3つのキーワードの内の1つは前任の会員が使ったものから引き継ぐ。ただし、前任の会員がさらにその前の会員から引き継いだものは選べない。つまり、ずっと同じキーワードを引き継ぐことはできない仕様となっている。つまんなくしない為のセーフティ的な。今回はせっかくだから前担当の平良さんの記事のキーワードの1つ、【孤独】を引き継いで『娼年』を書いていこうと思う。会誌でも紹介してたやんという意見は受け付けてません。

〈あらすじ〉

恋愛にも大学生活にも退屈し、うつろな毎日を過ごしていたリョウ、二十歳。だが、バイト先のバーにあらわれた、会員制のボーイズクラブのオーナー・御堂静香から誘われ、とまどいながら「娼夫」の仕事をはじめる。やがてリョウは、さまざまな女性の中にひそむ、欲望の不思議にみせられていく……。いくつものベッドで過ごした、ひと夏の光と影を鮮烈に描きだす、長編恋愛小説。

 

【孤独】※前回からの引継ぎキーワード

主人公のリョウは幼いころに母を亡くす。その頃からだろう。彼の心には穴が開いたのは。その穴はリョウにどんなに瑞々しい肉体を抱いても満たされず、女性の底というものを決めつけさせるということを課した。果たして母という存在があれば彼はこうならなかったかというのは断言できないが、母の死去は彼に喪失感を与え、空虚と孤独をもたらしたのは間違いない。しかしそんな冷め切った心も数々の女たちを前に、徐々に氷解していく。

【欲望】

閉じ切ったリョウに情熱を取り戻させたのは、娼夫として出会った女たちの身勝手な欲望である。決して日常生活では満たされない、倒錯的といってもいい程のリビドーは、リョウに女性の、全ての人間が持つ可能性という光を気付かせる。一人ひとりが千差万別。そしてその欲望のルーツには必ずその人の物語がある。だからこそ全ての人間は美しく、魅力があるのだという気付きは、彼に女性への興味という情熱を取り戻させるのに足りて余りあるものだったろう。

【やさしさ】

このボーイズクラブでトップの人気を誇るリョウは出会う女性たちの嵐のような、それでいて壊れやすい硝子細工のような欲望を前にしたとき、それを否定せず、かといって賛同するでもなく、ただ従う。彼女らが満たされるように。そして彼女たちのありのままの美しさを見るために。きっと客の全てが自分の欲望を醜く歪んだものだと、社会の常識がそれを許さないだろうと確信している。その後ろめたさを誰もが抱いている。そして彼はそれを知った上で敢えて肯定も否定もしない。これは己の歪みに苦悩することと、それでいてその歪みに溺れる快楽に身をゆだねる姿のどちらをも結果的に肯定していることに他ならない。手放しでも掴みかかるでもなく、ただ、寄り添うことこそが最適解だとしたのだ。又、この作品そのもので言うと、物語の終盤にボーイズクラブが無くなる危機に直面するのだが、どこか未来に展望がある、そんなやさしいテイストで幕を下ろすのもこういった作品群の中ではめづらしく、印象深い。

 

以上。エロという面だけでなく、リョウという人間の心の変化にも目を向けてほしい作品でした。あと、松坂桃季主演で映画化もしているので是非見てね。因みにR18だから、お父さんお母さんと一緒に見に行こう。

新歓活動 4/3~4/5の活動について

春休みが終わりますが、皆さんどうお過ごしでしょうか。やりたかったことや積んだ本の消化など、
勿論できたと思いますが…。
どうもこんにちは、FSMの大野です。

オリエンテーション期間中の4/3~4/5はBOXを解放しております。みんなきてね☆
4/3、4/4は 10:00~18:00くらい  4/5は10:00~16:00くらい  多分ね。
詳しくはFSMツイッターID @toyo_fsm をふぉろー。

4号館5階 BOX4551 でお待ちしております。
場所が分かんねーって人は 090//2173//9585に電話ください、案内しやす。

新入生の方も在学生の方も1部も2部も歓迎です。
履修相談でも暇つぶしでも、気軽に来てください。

サークルについては
こちらのサークル紹介をクリック

それでは!本が積みっぱなしの、大野がお送りしました!